■リフォーム事業者選定の一番の基準は「知識・技術力」がある会社です。

■こだわりのリノベーションは、資産価値を毀損する可能性が高くなります。

​■リノベーション工事が大きい方が事業者が儲かります。

①技術に差があるリフォーム事業者

●デザインばかりPRする会社は要注意

 リフォームのデザインをPRしている会社が多く存在します。もちろん、素敵なデザインをという消費者の要望に応えることは大切です。しかし、いくらデザインが良くても建築の知識と技術が無い会社には頼みたくないものですが、そんな事業者が多数存在します。建築を担う者の最低限の素養は「建築の知識と技術」です。知識力や技術力の差は、一戸建て住宅のリフォームの際に顕著に表れます。消費者が「この壁を取ってほしい」と注文すれば、その壁を撤去することは簡単です。しかし、プロは「その壁は撤去できるか」「撤去後、どこに壁を増設すべきか」等を検討します。壁を簡単に撤去するようなリフォーム事業者は知識・技術がない会社でしょう。消費者が知識がないのはやむを得ないですが、事業者にも知識がないので、その危険性に気付くことができないのです。

●リフォーム事業者として最低限の資質

 リフォーム事業者の資質を判断するうえで、一つの指標となるのが、以下の項目です。依頼しようと考えているリフォーム事業者の会社情報などから、以下の項目が当てはまるかチェックしましょう。情報が無い場合には、直接リフォーム事業者に確認しましょう。「それらの資格がなくても大丈夫」と言われても、その事業者は敬遠したほうが良さそうです。

 ○ 建設業の許可の取得

 ○ 建築士事務所登録

 ○ 既存住宅状況調査技術者

 ○ かし保険検査会社登録

 ○ 耐震基準適合証明書の発行実績

 ○ フラット適合証明技術者の在籍

②趣味と資産価値維持向上

●私に100点は他人に0点

 他人が評価できないリフォームは、いざ売却する際には価値にならないどころか、敬遠されてしまうリスクさえあります。最近は、こだわりのリノベーションを提案する事業者も増えてきており、消費者の意識もこだわりリノベに向けられがちです。もちろん、こだわりのリノベーションは悪くはないのですが、こだわればこだわるほど費用が高額になるうえ、他人が共感しにくい家になっていきます。例えば、流行りのカフェ風リノベ。内装を全てはがし、コンクリート打ちっ放しのスケルトンに、カウンターテーブル。30代の若いDINKSならまだしも、子育て世代や高齢者には居心地の悪い空間かもしれません。角が出ていてコンクリート打ちっ放しは子育て世代には向きません。また、70代の高齢者に足の長い椅子にカウンターキッチンはつらいでしょう。私にとっても、他人にとっても70点、そういう汎用性の高いリフォームが不動産の流動性を高めます。

参考:ある経済評論家の意見

 欧米の人は家をリフォームして、買った時よりも高く売るのが一般的です。彼らは住宅をハコとしてとらえ、リフォームする際にも標準的な間取りにして、流通しやすいようにしています。 一方、日本ではテレビ番組でよく紹介されるように、その時の家族構成やライフスタイルに合わせてカスタマイズし過ぎた家を作るため、流通価値がなくなってしまうのです。

●インテリアと設備で上手にアレンジ

 部屋全体の雰囲気や色味は、まず「壁紙」で決まります。壁紙はそもそも消耗品なので、ピンクでも、大きな柄の入った壁紙でも、思いっきり遊ぶのもよいでしょう。さらに、床や建具といった住宅設備で基本的なテイストは決まります。でも、一般的には「白が基調のさわやかなイメージ」「濃い茶色の落ち着いたイメージ」「薄い茶色のナチュラルなイメージ」「黒が基調のモダンなイメージ」「純和風」この5つが基本でしょう。それ以外「青が基調の海のイメージ」「緑が基調の山や自然がイメージ」「ピンクなどビビッドな色が基調のポップなイメージ」等ありますが、多くは「壁紙」「建具」「床」の色で決まります。そして、部屋のアクセントになるのがインテリアです。テーブル・ソファー・ラグマット・照明・家電等、ベースの雰囲気にアクセントが加わります。

 これらの提案はインテリアコーディネーターの仕事です。それでは、リフォーム事業者が担うべきデザインとは何でしょうか?それは、「構造のデザイン」や「造作」かもしれません。据え付けの家具や収納、手作りキッチンなど、大工や木工家具職人の腕の見せ所です。しかし、造作を増やせば増やすほどコストがかさみ、売却の際には壊すことも多くなります。

●資産性に乏しい主張の強いリフォーム

 壁紙はいずれにしても貼り換えるので自由に遊んでもよいと思うのですが、キッチン・お風呂・トイレ・扉・床などの住宅設備はスタンダードなものが良いでしょう。前述のとおり、部屋の雰囲気はインテリアで決まります。そのインテリアを撤去したら強い個性が残らない、そのようなリフォームが良いでしょう。汎用性が高くなくてはいけない「賃貸物件」や「ホテル」等がまさにその典型です。壁紙をはがし、家具を移動したら個性を主張しない空間にしておくことが肝心です。

 自分の為のリフォームと売却を考えたリフォームは、そもそも根本的な発想が違います。

リフォームの部位別シェア

資料提供:Craig Webb(「Remodeling」誌編集長)

資料協力:藤井 繁子氏(SUUMOジャーナル)

●資産性を考えたリフォームをする米国

 右図は、アメリカのリフォーム部位別シェアです。自分の為にする内装、その他個室リフォームは合算してもわずか24.9%。

それ以外は設備の更新や外観のブラッシュアップなどで、リセールバリューを考えたリフォームを実施することが特徴です。自分の為だけにリフォームしている日本とは大きく違います。

参考:「資産価値を高めるリフォームとは? 米国リフォーム誌編集長が伝授!」の記事はこちら

●資産価値向上に寄与する性能向上

 まさに、この部分がリフォーム事業者の腕の見せ所です。性能向上リフォームは大きく分けて二つ、「耐震性」と「省エネ性能」です。まず耐震性ですが、地震大国日本に私たちは住んでいます。大切な家族を守るはずの家が、その大切な家族の命を奪うようなことがあってはなりません。耐震性能は全ての性能やリフォームに優先すると考えて下さい。二つ目は「省エネ性能」です。省エネ性能が高ければ日々の光熱費も安く抑えられます。住宅の快適性にも大きく影響するでしょう。この2点については、積極的に投資されることをお勧めいたします。

③リノベ事業者はリフォームしたい

●リフォームを受注するための仲介?

 全ての会社ではありませんが、「仲介からリフォームまでワンストップで」とPRしている会社の多くは、リフォームを受注するために仲介しているケースが少なくありません。その結果、資産価値の低い500万円の団地を勧め、1,500万円のリフォームをするようなこともあるそうです。全額ローンであれば、そのお客様は、これから2,000万円の住宅ローンを背負う訳ですが、残念ながら、現在500万円の団地は、近い将来売却が困難になるでしょう。売れない(現金化できない)不動産を所有し、住宅ローンを支払い続ける。このような現実を把握して購入したのなら問題ありませんが、多くは、売却のことを考えずに、自分のライフスタイルや趣味嗜好だけで購入、リフォームに踏み切っている場合が多いものです。

●予算をリフォームに割いてもらったほうが利益が残る

 不動産仲介もリフォームの請負もワンストップで対応する会社では、下の図の通り、リフォームのボリュームが増えると利益が多く残ることになります。ワンストップ対応の会社で「リフォームしなくても仲介をしてもらえるか」を確認すると良いでしょう。その時に、それを拒絶したり、強くリフォームを勧めてくるような会社は敬遠したほうが良さそうです。

※仲介手数料:売買価格の3%+6万円が上限 / リフォームの平均的な粗利益率30%前後